議会報告

唐沢としみの発言

[ 平成22年 12月 定例会−11月25日-02号 ]

◆三十六番(唐沢としみ 議員) 質問通告に基づき順次質問いたします。
私はこれまで、市民の力を生かした市民が主人公の区政を築くことをメーンテーマとして、さまざまな観点から質問をしてまいりました。今回も、無縁社会という言葉をキーワードとして、新たな側面から、これからの区政と区民とのありようを考えてみたいと思います。
先日、二〇一〇年の流行語大賞の候補が発表されました。微笑ましい言葉もありますが、聞いただけで気がめいるような言葉もありました。無縁社会という言葉です。この無縁社会の進展は、私たち一人一人の生活にさまざまな点で影響を及ぼしていると思います。高齢者の孤独死の激増もその一つであります。最近の報道によれば、二十三区の孤独死は、何とこの二十年で三倍にふえ、年間約三千四百件に上り、毎日十人が孤独で亡くなっているという話であります。まさに深刻な事態と言うよりほかありません。行政も区民も、今こそ、この現実に真剣に向き合って、そして問題解決につながるよう真摯に取り組んでいかなければならないと思います。
区も地域の絆再生事業を初めとする多くの施策を展開しておりますし、区長も折に触れきずなの大切さを訴えております。しかし、こうしたさまざまな取り組みにもかかわらず、例えば町会・自治会への加入率の低下など、世田谷区においても無縁社会が着実に広がっているように感じます。
そこでまず、区は、世田谷区における無縁社会の進展の状況についてどのようにとらえているのか。そして解決に向けてどのような取り組みを考えているのか、基本認識をお伺いします。
次に、無縁社会に関して具体的な取り組みについて幾つか質問いたします。
まず、きずなの最小単位である家庭について考えてみたいと思います。私は、家庭という場を通じて、家族がお互いにしっかりとしたつながりを持つことが、日常生活の上でも、福祉の上でも、教育の上からも、無縁社会を克服する原点となると考えております。しかし、区は、PTAを対象とした勉強会などさまざまな工夫を凝らす一方で、行政の立場で家庭の中にアプローチすることの難しさも指摘しております。しかし、発想を変えれば新たな取り組みも可能ではないでしょうか。
私は、食育の重要性に改めて着目すべきだと考えております。食事はすべての家庭にとって最も基本的な営みであるからであります。区や教育委員会はさまざまな取り組みを進めておりますが、しかし、これらの取り組みは、主として健康づくりや栄養指導に主眼が置かれており、家族同士のコミュニケーションや食事を通したきずなづくりは、事業のわき役にとまっているような気がいたします。単なる健康づくりや栄養指導より、食を通じた触れ合い、思いやりを学び、家族のきずなを深めるきっかけづくりを目指した取り組みこそが求められているのではないでしょうか。食生活の改善というテーマであれば、なかなか入り込めない区民個人の家庭生活にも溶け込みやすいとも考えられます。食べることといういわば家庭生活の足場となる部分へのアプローチを通じた家庭の力のアップといいますか、家庭の力の再生について、まず区のお考えをお聞きいたします。
次に、家庭から地域へと視野を広げたいと思います。当区には、区民と地域とのきずなづくりに結びつく事業が数多くあり、多くの区民が多様な活動を展開しております。その中から今後特に重要となるのが、豊かな心の文化をはぐくむことではないでしょうか。心の文化をはぐくむと言うとわかりにくいかもしれませんが、私は、この言葉を、区民一人一人が地域の中で人と触れ合い、きずなをはぐくみながら生活していく意識づくりという言葉で使っております。例えば高齢者の見守りを進めるためには、元気ですかと声をかけると拒否反応を示す高齢者も多いと聞いております。また、世田谷区に長年住んでいながら、地域のことに全く興味がない、自分が住む町のことをほとんど知らない区民がいることも事実であります。私は、人間とは本来、さまざまな社会性を備え、さまざまな人々や地域社会とのかかわりの中で生きていくものであると考えております。したがって、そのような方々に対しては、できるだけその原因を探り、いま一度きずなの心を持つきっかけを提供していくべきだと考えております。
例えば区は、あんしんすこやかセンターを中心に高齢者のあんしん見守り事業の試行を始めました。世田谷区の特色を生かして高齢者の見守りを進めようという大変意義ある取り組みであります。本人が見守りを希望されなかった場合はどうなるでしょうか。私は、このようなときこそ、まずご安心くださいと声をかけ、何度も何度もお話しする中でもって、なぜ希望しないのか、どのような心配があるのか丁寧に話を聞き、相談に乗っていくべきだと思います。そして孤立しがちの高齢者が地域社会との豊かなきずなを再生させるきっかけをつくってほしいのであります。本当の見守りとはこのようなことだと思います。難しいことであることはわかっておりますが、少なくともこれからの区政はこのような意識や意欲を求めたいのであります。
そこで、心の文化をはぐくみ、無縁社会を克服する取り組みとしてお伺いいたします。まず、あんしんすこやかセンターでの高齢者の孤立防止の取り組みを今後どのように広げていくのか。
また、福祉領域だけでなく、さまざまな分野で、こうした姿勢で区民と接触をし、多様な働きかけを粘り強く続けていけば、多くの区民がお互いにきずなを築き、地域を知り、町を元気づける力となっていくと思います。豊かな心の文化を築く取り組みについて、区のお考えをお伺いいたします。
さて、無縁社会を克服し、市民や地域の力を高めていくためには、今取り上げた家庭の力、行政の力に加えて、区民の力をもっと活用することに限ると思います。民生委員さんや町会の役員さんの働きなどさまざまな区民活動がいろいろな場面で大きな役割を果たしているわけでありますが、そんな働きをする区民がもっとふえれば、これまで以上に触れ合い、知り合う機会もふえ、地域が少しずつ変わっていくと思います。
そこで、人と人とを結びつけ、新たなネットワークを広げるためには、地域の中での縁を結ぶコーディネーターとして活躍してもらえる区民をふやすといった取り組みを提案したいと思います。かつてありがとう賞という区独自の区民活動の支援策がありましたが、無縁社会を少しでも解決するような区民活動について何らかの形で支援することが効果的だと考えます。きずなづくりの区民活動を一層支援する仕組みづくりをどのように考えているのか、区のご見解をお伺いいたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎金澤 政策経営部長 無縁社会の現状、それから解決に向けてどのように取り組むのかというご質問にお答え申し上げます。
単身世帯が増加して、人と人との関係が薄れゆく現代社会の一面を称して、昨今、無縁社会という用語が使われているものと存じますが、家族の住まい方や世帯構成の変化などにより地域社会が大きく変容する中で、コミュニティーや人と人とのつながりの希薄化が懸念されているものと受けとめております。こうした状況を踏まえ、例えば区では、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターの一体整備によって、高齢者の見守りや支援活動をより効果的に進めるとともに、地域の絆再生事業等によるネットワークの拡充や、災害時要援護者の支援に関する取り組みの推進に力を注いでいるところです。
また、本年四月には、世田谷区地域活性化に向けた指針を策定して、地域におけるさまざまな人々の参加や活動を促す取り組みを推進し、地域行政制度を基軸とした現場志向の体制づくりに向け、全庁挙げて一層の取り組みの強化を図っているところでございます。今後とも、こうした取り組みなどを通じて、地域のきずなが支える区民自治、協働を基本に、八十四万区民の皆さんが安全で安心で住み続けることができる町の実現に努めてまいります。
以上でございます。
◎西田 世田谷保健所長 家庭の力の向上ということで、食育を通じての家庭力のアップ、家庭の力の再生をというご質問にお答えいたします。
区は、家庭力の向上に向けて、食を通じた家族のきずなを大切にする食育事業を展開することは大変重要であると認識しております。区は「健康せたがやプラン」を策定し、だれでも健やかで心豊かに暮らせる町を目指し、区民の主体的な健康づくりを支援するため、重要施策として乳幼児からの食育の推進を掲げ、さまざまなライフステージに応じた食育事業に取り組んでおります。とりわけ親と子の健康づくりについては、「早起き、早寝、朝御飯」や家庭での食生活を大切にするなど、乳幼児期からの望ましい生活習慣を身につける大切さの普及を目指して、両親学級、乳幼児健診などの機会の活用を初め、保育園、幼稚園、学校での食育の取り組みや、地域の商店街、企業などとの協働による食育事業等を実施しております。
今後とも、栄養の観点に立った健康づくりの推進とともに、教育ビジョンとの連携など関係所管と協力して、区民それぞれのご家庭の団らんの中で、子どもの発育、発達を喜び、楽しく、また感謝の心を持って食卓を囲む家族一緒の食事の大切さの普及に努め、家族のきずなづくりにつながるよう食育事業に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎堀川 地域福祉部長 あんしんすこやかセンターでの高齢者の孤立防止の取り組みなどを地域にいかに広げていくかというご質問にご答弁いたします。
あんしんすこやかセンターにつきましては、高齢者やその家族のさまざまな相談に応じる地区の拠点として充実を図っておりますが、十一月より十カ所のセンターであんしん見守り事業を開始いたしました。それとともに、センターでは日ごろより地域の高齢者の実態把握訪問を進めており、ご本人のお体や生活状況などに応じてさまざまなサービスの紹介や利用調整を行っております。
お話にございましたようなご本人が希望されない場合でも、見守りが必要と判断されるときには、各総合支所の保健福祉課や地域の民生委員などの方々とも連携し、訪問を重ねて、また信頼関係をつくるよう努めております。また、区では、訪問やサービス導入を希望されないけれども支援が必要と思われる方に対する対応スキルを上げるための専門研修をあんしんすこやかセンター職員に対して実施するとともに、保健福祉課による巡回指導や動向訪問などでセンター職員のフォローアップも実施しており、今後もより一層、高齢者が地域の中で孤立化せず、地域社会とのきずなを再生し、心豊かに暮らしていただけるよう取り組みを充実してまいります。
以上でございます。
◎城倉 生活文化部長 私からは二点お答えいたします。無縁社会を克服するための豊かな心の文化を築く取り組みについてのご質問にまずお答えいたします。
議員からは、心の文化につきまして、地域の中で人と触れ合い、きずなをはぐくむ地域づくりとのお話がございますが、このことは大切なことと認識しております。無縁社会を克服するためには、目配り、気遣い、思いやりの心を持って臨み、地域社会のきずなを強くしていくことが重要であり、このことが豊かな心の文化を築き、地区まちづくりの推進につながるというふうに考えております。区といたしましては、地区まちづくりを区民との協働により行うことを基本に据え、町会・自治会を初め、身近なまちづくり協議会やごみ減量・リサイクル推進委員会、そのほかNPO等の地域活動団体と連携すべく、例えば地域の絆再生支援事業を展開するなどさまざまに取り組んできたところでございますが、今後も一層工夫しつつ進めてまいりたいというふうに考えております。
次に、人と人を結びつけ、新たなネットワークを広げるような仕組みづくりについてのご質問にお答えいたします。
市民や地域の力を高めていくためには、区民の力がさらに発揮できる環境を築いていくことが大切であるというふうに認識しております。区は、本年二月に地域コミュニティー活性化に向けた出張所・まちづくりセンターの取り組み指針を明らかにし、これに基づき具体的にまちづくりの活性化を進めており、まちづくりの拠点である出張所・まちづくりセンターの所長やまちづくり担当係長がコーディネート役となり、まちづくりに取り組んでいるところでございます。区といたしましては、この指針に沿って、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターが連携し、町会・自治会を初めとする地域の活動団体と協働を進める中で、互いに認め合い、強固になっていくネットワークづくりの支援に努めてまいります。
以上でございます。
◆三十六番(唐沢としみ 議員) 地域のさまざまな取り組みについてお話があったわけですが、この無縁社会が確実に広がっている事態を真剣に受けとめながら、この問題について立ち向かうためには、私は、地域領域だけでなくて、さまざまな分野でそれぞれの方々が力を合わせながら、意識と意欲でもって取り組むことが大事であると思います。そのためにも、ぜひとも全庁挙げて取り組んでほしいことを期待いたしまして、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。

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